ユキは十七歳 特攻で死んだ―子犬よさらば、愛しきいのち
- 作者: 毛利恒之
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2004/08/30
- メディア: 単行本
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この本は父に借りました。
戦争モノは苦手で、普段はめったに手に取らないのですが、父から興味ある言葉を聞いたので、読むことにしました。
表紙の写真の中央に写っている子犬を抱いた少年(この話の主人公ユキ)は、父の父(私からみると祖父)のいとこだそうです。
祖父はもう13年前に他界していますが、そのいとこの血筋にあたる親戚のところにこの本の作者が訪れ、いろいろ聞かれたそうです。
この表紙の子犬を抱いて微笑む少年たちは、2時間後に特攻による出撃を控えていたそうです。
(実際は悪天候のため、出撃は翌日早朝に延期になりました)
どうしてそのような状況で、楽しそうに微笑むことができるのか、不思議でなりませんでした。
この本を読んでみて、少しだけその理由がわかった気がしました。
ユキこと荒木幸雄さんをはじめ、特攻の少年兵たちは、ただただ家族や愛する者達のために、特攻機に乗ったのでした。
特攻を美化するつもりはありません。
とてもおろかな事だと思っています。
でも、自分のこの特攻によって、家族や愛する者達を守れると信じ、出撃前さえ微笑んでいた彼らはとても美しいと思いました。
ただ、その時代に、国のために自分の命を犠牲にすることがおろかなことだと教えてくれる人たちがいなかったことが、とても不幸なことだったのだと思います。
教育って怖いです。
子どもはとても洗脳されやすいから。
今の時代、親や学校から正しい教育がなされていることを祈ります。
特攻で散っていった人たちとは逆に、決断を下した軍首脳部には強い憤りを感じます。
人があって国があるのです。人を犠牲にして国を維持して何になるのでしょうか?
そんな国ならなくしてしまって構わなかったと思います。
もし祖父が生きていたら、どんな気持ちでこの本を読んだだろう?
そんなことを考えながら、この本を読み終えました・・・。